東洋精密工業 BLOG

この橋渡るべからず。

もしみなさんのお手元にエッチングで作られた部品があったら、その外周部をぐるっと見てみてください。きっとどこかに謎の凹みが何ヶ所かあるはずです。

今回はこの凹みって何?なんでできるの?というところのお話です。

さて、一般的なエッチング加工の場合、材料は板の状態で工程を流れていくわけですが、この材料1枚の中に作りたい製品をびっしり並べるのが普通です。

このように1枚の材料内に複数の製品を配置することを「面付け」と呼び、取り個数によって「面付けが多い」とか「面付けが少ない」とか言います。
(「面付け」は製本業界の用語から来ているようですが、基板屋さんなどでも同じように使うみたいですね。)

そしてこの複数個の製品が面付けされた材料を工程に流していくのですが、もし何もせずに製品をそのまま並べただけだと、製品外形のエッチング加工が終わると同時に全ての製品がバラバラになり、次々にエッチングマシンの中に消えていってしまいます。

それを避けるべく、製品と製品の間に細いフレームを残し、製品とフレームを繋いで外形加工が終わった後もバラバラにならないような工夫をしておきます。
この製品とフレームを繋いでいる部分を当社では主に「ブリッジ」と呼んでいます。
(他にも「ツナギ」とか「タブ」とか呼ばれることもあるようですが、エッチング業界の標準語は「ブリッジ」のようです。)

こうして無事、バラバラにならずにエッチング工程を完走した製品たちを、後の工程で板から個片に分割(当社では「断裁」と呼んでいます。)していくのですが、この時に残るブリッジの痕、これが冒頭に出てきた製品外周部の謎の凹みの正体なんです。

なお、正確には「凹み」=「ブリッジの痕」ではなく、ブリッジの痕が製品外周から出っ張らないようにワザと凹みを作り、その凹みの底にブリッジを付けた結果として「ブリッジの痕と凹みのセット」が残っている状態です。
ですので、ご指示があれば凹ませずにあえて製品外周より凸にしたブリッジ痕にする、ということももちろん可能です。

余談ですが、ブリッジ痕の有無でエッチングで作ったものかどうか判別できることが多いので、自社製以外の金属部品を見たときにまずブリッジ痕を探してしまうのはエッチング屋さんの職業病のようなものだと思っています。

ところで、ここまでエッチング加工にはブリッジがつきもの、という体で話を進めてきましたが、どうしてもブリッジの痕がNG、ということであればブリッジを付けない特殊なエッチング加工(=ブリッジレスエッチング)を行うこともできます。
但し、コストや精度の面で不利になる場合もありますので、ご要望の仕様に対してブリッジをどうするのが最適かについては、ご気軽に当社営業までお問い合わせください。

それでは、また。

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