エラーのお話① 「ピンホール」編
いつもエッチングの良いところばかり紹介していますが、たまには弱点(?)のお話も。
皆さん、「ピンホール」という言葉はご存じでしょうか?
直訳すると「針穴」で、もう少し意訳すると「針で刺したような非常に小さい穴」を指します。
ピンホールカメラで遊んだことのある方なら聞き馴染みがあるかもしれません。
さてこのピンホール、エッチング加工にとってはありがたくない存在だったりします。
と言いますのも、これまでも何度かご紹介しました通り、エッチング加工をする際にはフォトリソグラフィ工程でフォトレジストによる精密なマスキングパターンを形成し、その後にエッチング液をかけ、金属を溶かして加工していきますが、この時になんらかの要因でマスキングに不具合があると、本来溶かしたくなかった箇所が溶けてしまうことがあります。
露光時にフォトマスクやレジストに異物が付着し感光されない箇所ができてしまったり、材料側に異物が付着していてレジストを突き破ってしまったり、そもそもレジスト自体の不具合であったりと要因は様々ですが、通常、レジストに生じる欠陥はごくごく微小なものです。
この小さな小さな欠陥からじわじわとエッチング液が入り込み、材料にツンと針で突いたような掘り込みを作ってしまいます。
これがエッチングで言うところのピンホールです。
普通は貫通しない片面からの掘り込み、いわゆるハーフエッチング状になりますが、運悪く元々ハーフエッチングする箇所の反対面側に生じたものは、貫通のピンホールとなってしまうこともあります。
また、ベタ面ではなくパターンのエッジ部分に掛かって発生した場合はいわゆる「カケ」状の欠陥となります。
異物が付かないように清掃、管理するのはもちろん、他にも色々と対策して昔に比べれば格段に減ってはいるのですが、先程も触れましたように様々な要因があってなかなか撲滅というのは難しいところです。
発生してしまったものは外観検査ではじいていくことになりますが、この時の基準は製品用途によって「貫通してなければ全然OK」というようなものから顕微鏡を使わないと見付けられないレベルのピンホールがNGになるものまでまちまちです。
ちなみにこのピンホール、発生する事象やサイズ感は全く違いますが、めっきやコーティング、塗装、樹脂成型、包装などのジャンルでも特定の不具合モードを指す言葉として扱われているようです。
あっちでもこっちでも嫌われるピンホール君、少しかわいそうな気も…
そんなやっかいなピンホールですが、同じくらい小さな径のハーフエッチングを狙って作ろうとすると、これはこれで難しかったりするのです。
それはちょっと悔しいので、いつの日かこのやっかい者を逆手にとって、今よりもっと微細な加工ができるようになったりしないかと夢見つつ…
それでは、また。



