青空

プロジェクトストーリー

Project Story

若手社員が活躍、
試作品の量産効率化と
品質向上プロジェクト

Project members
  • 回路基板事業部 製造責任者(当時)
    田家 義彦

    1998年入社
    田家 義彦
  • 回路基板事業部 製造課(当時)
    福田 智也

    2019年入社
    福田 智也
プロジェクトメンバーの写真

試作品の量産化が決まるも
見えてきた課題

プロジェクトのはじまりは、試作段階であった回路基板の量産化が決まったことだった。依頼元は大手メーカー。これまでに取引がない新規のクライアントだった。フォトリソグラフィ技術を用いて数多くの回路基板を製作してきた当社だが、本案件の回路基板は、社内でもあまり例のない製品だった。

ー“立体形状へのパターン形成品を量産化”

製造部門の責任者田家がこのプロジェクトを担当することになった。
田家「素材的にも形状的にも、これまでのノウハウやプロセスだけにこだわっていては製造できない製品でした。立体形状へのパターン形成自体は何度か試みたことがありましたが、今回はその量産化と品質向上が必須条件でした。」

通常、回路基板はシートや板状の平面にパターンを形成するものが多く、立体形状へのパターン形成品で量産実績はなかった。当時の製造工程では最大でも1日18枚しか作ることができない製品だった。
田家は工程改善に取り組むために4人のメンバーを集めた。その中で、新入社員だった福田を研修も兼ねて参画させた。

田家「これまでにやったことのない製品だったので、福田の新鮮で真っ白な目で見てもらうことも必要だと感じました。0から工程を作り込むような感覚でしたので、まずはいろんなことにチャレンジをしてほしいと考えていました。」

処理枚数2.5倍への挑戦
同時に品質の向上も

スタート当時は月産1000枚までの必要性は見えていたため、最低でも1日50枚の製造、つまりこれまでよりも2.5倍の生産量が必要となる。
福田に任されたのは各工程の現状把握と改善だった。

福田「どうやって品質を上げつつ、量産に結びつけるかが課題で、1ヶ月くらいはずっと加工テストと結果考察をしていました。合計で20回以上は加工テストをしたと思います。」

プロジェクトにアサインされてから、福田はこの案件に専属で取り組んだ。
福田は試作段階でネックになっていた工程を担当していたため、その時の知識を活かし、加工テストを通して最適な条件を見定めていった。

福田「最初の数回はなかなか結果が出ずに先行きが見えなくて不安でした。ただ、回を重ねるごとに、だんだん可能性のある加工条件が見えてきました。そこからはモチベーション高くプロジェクトに取り組めたと感じています。」

周囲のサポートも受けながら徐々にネックになっていた工程の加工条件を整えていった。

問題解決の糸口をつかみ、
事業部としても新たな発見

当時の福田について、田家はこう振り返る。

田家「やろうとしていることのハードルは高いと分かっていましたが、福田が新鮮な発想を持って行動に移していってくれました。そこで発生した問題も一つずつ解決していってくれました。」

田家は指導や管理というよりも、福田の持ってきたテスト結果に対してアドバイスをすることに徹した。

田家「フォトリソグラフィという工程は大きく【レジスト塗布】【露光】【現像】という3つに分けられ、今までは作業者が決められた手順で決められた作業を行っていました。しかし、今回は福田がこの3つの作業の加工条件を1つずつ調整してくれたので、工程やメカニズムについても理解を深めてくれたと思いますし、私達にとっても新たな発見がありました。」

福田にとって初の量産化プロジェクトは形になり始めていた。

挑戦する姿勢が会社も個人も大きくする

結果的に、生産枚数は当時の目標を大きく上回る1日70枚までに増やすことができた。
また、品質の課題もクリアし、クライアントからの期待に見事応えた。

福田「このプロジェクトに関わる前は、自分は作業者としての意識が強かったと思います。それが今回の経験を通して、現状のプロセスの問題点を常に意識するようになりました。“従来の手法だから”といって黙認するのではなく、日々どうすれば改善ができるか?と自然に考えるようにしています。」

この量産案件は現在でも継続して受注をしており、回路基板事業部の売上や、工程改善によるコスト削減に大きく貢献することとなった。

福田「このプロジェクトの成功により、製品の量産化が実現化されて会社の受注・売り上げ拡大に貢献することができたことは大きな喜びです。」

会社が蓄えてきたノウハウにとらわれすぎず、若手社員の努力と挑戦でプロジェクトを成功に導く。そんな挑戦の日々がつながっていくことで会社も個人も大きくなっていく。